Japanische Klassiker mit Furigana
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アンドロギュノスのちすじ
アンドロギュノスの裔
渡辺 温
Lesen Sie アンドロギュノスの裔 (アンドロギュノスのちすじ) von 渡辺 温 (わたなべおん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.168 Zeichen · 267 Bildschirme
(――私は、姉を食べて大きくなったようなものだ。)
私の心は、そんなにひどい苦労をして、私を大人に育て上げてくれた姉に対する感謝の念で責められた。私にとって、姉の見るかげもなく壊れてしまった姿は、黒い大きな悲しみのみだった。私はなぜ、私が大人になるためには、それ程の大きな悲しみが伴われなければならなかったのだろうか、と神様に訊き度かった。……大人になったことも、姉を不仕合せにしたことも、私の意志では決してないのだ。親父と二人の阿母とに、地獄の呪いあれ!……私は堪え難い悲嘆にすっかりおしつぶされてしまって、あげくの果に、声をしのんで嗚咽するのであった、私は寧ろ死んでしまいたかった。
私は一人でじっとしていることがやり切れなくなって、そこで姉を揺り起こした。
――姉さん、ごらんなさい。あの雲の中にそびえている大きな建築を。」
私は窓を開け放して、姉に遙かの町の景色を見せてやるのであった。
――僕は、いまに、あれよりももっと立派な大建築をこしらえて、姉さんを住まわしてあげますよ。」
すると姉は首を上下にうなずかせながら、手真似をして答えた。
――バカヤロウ、アレハ、カンゴクジャナイカ!」