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Japanische Klassiker mit Furigana

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アンドロギュノスのちすじ

アンドロギュノスの裔

渡辺 温

Lesen Sie アンドロギュノスの裔 (アンドロギュノスのちすじ) von 渡辺 温 (わたなべおん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.168 Zeichen · 267 Bildschirme

Aozora Bunko

……

だが、幸なことに彼女は死ななかった。すでに病の峠を越えると熱はずんずん退いて行った。彼女は静かに楽々と眠りつづけた。彼女の両親も青年も全く安心してよかった。

幾日ぶりかで彼女の眼がはっきりと見開かれた時、彼女は枕元にたった一人で坐っている青年を見た。

――おや、眼がさめたんですね。」青年は何かしら、うろたえるように云った。

――お父さんや、お母さんは?……あなたお一人?」

――ええ。」

――あたし、もういいのかしら…」

そう云い乍ら彼女はふと窓に眼を遣った。すると彼女は唐突に笑い出した。病気のためにひしゃがれたような笑声だったが、丈夫な時にだってそんなにも喜ばしげに晴々と笑うことは滅多にないのだった。そしてその却々に止まり相にもない笑いを辛うじて飲み込みながら、窓の外を指さして云った。

――あれを、あれを、ごらんなさいな!……あたしの赤い小っちゃな煙突から煙が出ているじゃありませんか!……まあ、一体どうしたって云うことなのかしら!……」

青年は三本の煙突を見た。なる程、真中の小いさな岱赭色をした煙突からも両側のと同じように盛に煙が吹き出ていた。