Japanische Klassiker mit Furigana
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アンドロギュノスのちすじ
アンドロギュノスの裔
渡辺 温
Lesen Sie アンドロギュノスの裔 (アンドロギュノスのちすじ) von 渡辺 温 (わたなべおん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.168 Zeichen · 267 Bildschirme
雨が降っているし、学生は大方試験最中だし、酒場は静かであった。
私共は、可愛い男刈りの頭をした女の子に、我々がえくぼウイスキイと呼んでいる先ず上等の種類のウイスキイを誂えて飲んだ。
――あしたも雨でしょうか?」と私が云えば、
――怪しいもんですね。」とミハエルは答えた
――博覧会もあと一週間きりですが、運が悪いとこれっきり晴れずにしまうかも知れませんな。」
――ああ!」ミハエルは、何杯目かのグラスを一気に飲み干して、大きな溜息を吐いた。
――で、結局あなたの地上の宝とやらは見つからないのですか?」と私は切り出した。
するとミハエルの眼に、急に大きな泪が溢れて、それが白い滑かな頬を伝って、茫々たる髯の中へ流れ込んだ。
――酔っぱらいましたね。」と私は笑った。
――酔っぱらいました、そこで私は私の地上の宝について、いよいよあなたにお話して差し上げようと思うのです。」と彼は云った。
――有難う。もう一杯おあがりなさい。」
私は彼のグラスへ新しくウイスキイを注がせた。
――これは恋の話です。」と彼は云った。「地上の宝とは、それこそ天地に掛け更えもない、私のたった一人の恋人なのです。