Japanische Klassiker mit Furigana
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アンドロギュノスのちすじ
アンドロギュノスの裔
渡辺 温
Lesen Sie アンドロギュノスの裔 (アンドロギュノスのちすじ) von 渡辺 温 (わたなべおん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.168 Zeichen · 267 Bildschirme
『本当だとも!』
『よろしい。兄弟同志の事だもの。ちっとも遠慮なぞしなくてもいい。お嫁さんは、どうせどっちかに一人いれば済むのだから、兄さんはお前さえよければ、喜んで取換えてあげようよ。』
イワンは胸から、あんなに大切にして肌身につけていた銀の小箱の鍵をとって、惜しげもなく兄に渡してしまいました。
5
その晩、イワンと娘との盛んな結婚式が挙げられました。――どうしたものか、一家の主であるにも拘らず、イワンの兄は弟の晴れの祝宴に姿を見せようともしませんでした。
娘は何時の間にか、花婿が変ってしまっているのに、おどろきました。
『あなた、あたしを本当に愛して下すって?』と娘はイワンに訊きました。
『神さまに誓ってもいいよ――』
イワンは、生れてない感動に我を忘れて、そう叫びました。
『そう。でも、あなたのお兄さんは、何故あたしに嘘をついたのかしら?――』
『嘘をついたのじゃないよ。誰よりも優しい親切な兄さんだもの!』
イワンは周章て、自分の鍵の話を花嫁に仔細に物語って聞かせました。
すると娘は怒ってみるみる顔色を変えました。
『あなたに引きかえて、あなたの兄さんは、山羊の裘を被った狼です。