Japanische Klassiker mit Furigana
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アンドロギュノスのちすじ
アンドロギュノスの裔
渡辺 温
Lesen Sie アンドロギュノスの裔 (アンドロギュノスのちすじ) von 渡辺 温 (わたなべおん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.168 Zeichen · 267 Bildschirme
そして、可哀相にあなたは、あたしのために、折角お父さんが遺して行って下された大切な「行末」を失くしておしまいになったのね。……でも、安心していらっしゃい。あたしが、必ずその銀の小箱の代りに、あなたに楽しい「行末」をこしらえて差し上げますから……』
そう云って、娘はイワンに温い接吻をしました。
イワンの兄は、不思議なことにも、それから幾日経っても、幾月経っても幾十年経っても再び姿を現わしませんでした。そこで、イワンは改めてそこの邸の主となって、愛しい妻と共に何不自由なく仕合せな日を送ることが出来ました。
…………
ところでさて、イワンの兄は一体どうなってしまったのでしょうか。
自分の花嫁と鍵とを取り換えることの出来たイワンの兄は、その鍵で早速箪笥の中に蔵ってあった銀の小箱を開けて見ました。だが中には、ただ一本細い綱を束ねたものが入っているきりでした。その結びめのところに小さな紙片が挾んであって、それに次のような言葉が書きつけてありました。
(窖の北の隅の床石を持ち上げて、その裏についている鉤にこの綱を通して地の底へ降りて行きなさい。そこにお前の安楽な半生が準備してあります。