Japanische Klassiker mit Furigana
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キャラコさん
キャラコさん
久生 十蘭
Lesen Sie キャラコさん von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.819 Zeichen · 36 Bildschirme
「ボクさん、あたし、毎朝、ここで待っていたのよ」
ボクさんは、沈んだ眼つきで、じぶんの胸のへんを眺めながら、
「……でも、ボク、出られませんでしたの」
「まあ、どうして?」
「……パパの手下が来て、ボクを連れてゆこうとするからって、ママ、ボクの部屋へ鍵をかけてしまいました」
「そんなことでしたの? ちっとも知りませんでしたよ。では、ずいぶん、困ったでしょうね、ボクさん」
「ボク、いろんなことをして見たの。でも、どうしても出られませんでしたの」
「その間、ひとりでなにをして遊んでいた?」
「ボク、することないから詩をつくって遊んでいたの」
「そう、どんな詩?」
「なんでもない詩。……ここにひとつ持っています」
月の光で読んで見ました。
ところで、ボクは、しゃがみます、
ピチピチしてる川のそば。
ボクは、ながす
ちょうちょうのような笹舟。
なみよ、ゆすってゆけ
パパのところまで。
この詩情の中に、なんというあわれなねがいがしみ透っていることでしょう。あたしは、胸がいっぱいになって、どうしていいかわからなくなってしまいました。
せめて、こうとでもいうほかは。
「あなた、パパが好きなのね、ボクさん」