Japanische Klassiker mit Furigana
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パノラマとうきだん
パノラマ島綺譚
江戸川 乱歩
Lesen Sie パノラマ島綺譚 (パノラマとうきだん) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 78.920 Zeichen · 153 Bildschirme
私の工夫したパノラマ国の花火だよ。ソレごらん。普通の花火と違って、私達のは、あんなに長い間、まるで空に映した幻燈の様にじっとしているのだよ。これだよ、私がさっきお前に見せるものがあると云ったのは」
見れば、それは廣介の云う通り、丁度雲に映った幻燈の感じで、一匹の金色に光った大蜘蛛が、空一杯に拡っているのです。しかも、それが、はっきりと描かれた八本の足の節々を、異様に蠢かせて、徐々に彼等の方へ落ちて来るのでした。仮令それが火を以て描かれた絵とは云え、一匹の大蜘蛛が真暗な空を覆って、最も不気味な腹部をあらわに見せて、もがき乍ら頭上に近づいて来る景色は、ある人にとっては、こよなき美しさであろうとも、生来蜘蛛嫌いの千代子には、息づまる程恐しく、見まいとしても、その恐しさに、やっぱり不思議な魅力があってか、ともすれば彼女の目は空に向けられ、その都度都度、前よりは一層間近く迫る怪物を見なければならぬのでした。そして、その景色そのものよりも、もっともっと彼女を震い上らせたのは、この大蜘蛛の花火をも、彼女はいつかの経験の中で見ていた、あれも、これも、すっかり二度目だという意識でした。