Japanische Klassiker mit Furigana
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パノラマとうきだん
パノラマ島綺譚
江戸川 乱歩
Lesen Sie パノラマ島綺譚 (パノラマとうきだん) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 78.920 Zeichen · 153 Bildschirme
尤も誰を同伴しないでも、島へ行けば、そこに沢山の女共もいることですから、何不自由がある訳ではないのでした。
海岸を一時間も汽車にゆられると、もうそこが終点のT駅で、そこから用意のモーター船にのり、荒波を蹴って、又一時間も行くと、やがて、目的の沖の島です。
千代子は、久しぶりの夫との二人旅を、何とも知れぬ恐怖を以て、併し又一方では、不思議な楽しさをも感じながら、どうかこの間の晩のことは私の思い違いであって呉れます様にと祈るのでした。嬉しいことには、汽車の中でも、船の上でも、いつになく夫は妙に優しく、言葉数が多く、何くれと彼女の世話をやいたり、窓の外を指さしては、過ぎ去る風景を賞したり、それが彼女には嘗ての密月の旅を思い起させた程も、異様に甘く懐しく感じられるのでした。随って、あの恐しい疑いも、いつしか忘れるともなく忘れた形で、彼女は仮令明日はどうなろうと、ただ、この楽しみを一時でも長引かせたいと願うばかりでありました。
船が沖の島に近づくと、島の岸から二十間も隔たった所に、非常に大きなブイの様なものが浮いていて、船はそれに横づけにされるのです。ブイの表面は、二間四方位の鉄張りで、その中央に船のハッチの様な、小さな穴が開いています。