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Japanische Klassiker mit Furigana

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パノラマとうきだん

パノラマ島綺譚

江戸川 乱歩

Lesen Sie パノラマ島綺譚 (パノラマとうきだん) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 78.920 Zeichen · 153 Bildschirme

Aozora Bunko

千代子がこの雄大な景色に見とれている間に、廣介が何かの合図をしたらしく、ふと気がつくと、いつどこから現れたか、非常に大きな二羽の白鳥が、誇りがなうなじを上げ、その豊かな胸のあたりに、二筋三筋のゆるやかな波紋を作って、しずしずと、二人の立つ岸辺をさして近づいて来るのでした。

「まあ、大きな白鳥だこと」

千代子が驚嘆の声を洩すのと殆ど同時でした。一羽の白鳥の喉の辺から、美しい人間の女性の声が、響いて来る様に思われたのです。

「さあ、どうぞお乗り下さいませ」

すると、千代子の驚く暇もあらせず、廣介は彼女を抱いて、その前に浮んでいた白鳥の背にのせると、自分ももう一羽の白鳥へとまたがるのでした。

「ちっとも驚くことはないよ。千代子、これも皆私の家来なのだから。さあ白鳥、お前達は、私等二人を、あの向うの石段の所まで運ぶのだ」

白鳥は人語を口にする程ですから、この主人の命令をも理解したに相違なく、彼女達は胸を揃え、漆の様な水面に、純白の影を流して、静かに游ぎ始めるのです。千代子は余りの不思議さに、あっけに取られるばかりでしたが、やがて気がつくと、彼女の腿の下に蠢くものは、決して水鳥の筋肉ではなくて、羽毛に覆われた人間の、肉体に相違ないことを確めることが出来ました。