Japanische Klassiker mit Furigana
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ボロやのしゅんじゅう
ボロ家の春秋
梅崎 春生
Lesen Sie ボロ家の春秋 (ボロやのしゅんじゅう) von 梅崎 春生 (うめざきはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.411 Zeichen · 263 Bildschirme
「まだ、お家は見つかりませんでしょね」唐突にそう言うと白木は急に気の毒そうな表情になって、眼をぱちぱちさせる。自分の唐突さを恥じているような風情もある。そしてあわてて言葉をつぐ。「いや、おせきたてするわけではないんですよ。ただ、ちょっと、なにしたものですから。いや、今時、適当な家なんか、なかなか見つからないでしょうからね」
世間話の切れ目に、白木はこの話をちょっと入れて、すぐ切り上げてしまう。しかしそれは時に、正面切った催促よりも、もっと切実な催促を感じさせることもあった。そんな時彼はだまって白木の顔を眺めている。白木の方でひとりで話を切り上げるから、大てい彼は何も返事をしないで済んだ。
硝子戸ごしに、長者門のすきまから、白木の家が見える。土地が一段下っているので、低くなった庭には、軍鶏が一羽王者のようにあるいている。もうこれ一羽しかいないのだ。この軍鶏の世話をしている白木をときどき見かけるが、そんな時の白木の姿は、若いくせに虚脱したような印象で、まるで精気をすっかり鶏に吸いとられたような感じだ。そのくせ白木の顔には、切ない喜びといったようなものが、どことなくただよっている。