Japanische Klassiker mit Furigana
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ボロやのしゅんじゅう
ボロ家の春秋
梅崎 春生
Lesen Sie ボロ家の春秋 (ボロやのしゅんじゅう) von 梅崎 春生 (うめざきはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.411 Zeichen · 263 Bildschirme
彼はその時白木のしなやかな指が、めくった雨の十を桐の二十に合せて持ってゆくのを見た。彼はうす笑いを浮べて、それを見ていた。そして勝負が済んだ。彼は座布団の下から数枚の紙幣を出して、白木の方に押しやった。
「少し疲れたね」と彼は言った。
「まだずいぶん黄色いようですね」札をかきあつめながら白木が答えた。「もう止しますか。今日は私の方が勝った」
ラジオは続いて判決の模様を伝えていた。しかし白木はそれにほとんど興味をもっていないらしかった。彼は莨をふかしながら、耳をラジオに寄せていた。しばらくして白木が彼の顔を伺うようにして、早口に言った。
「まだ、お家は見つかりませんでしょね」
彼は返事の代りに、ちょっとうなずいてみせた。
「いえね、少し困ったりしましたんでね。あなた付きのままで、この家を売りたくないんでね」
「ええ。どこか探して引越しますよ」と彼は物憂く答えた。「引越すとあなたから蜆もゆずって貰えなくなりますね」
「あいつが勝って呉れればね、それでも暫くはやって行けるんですが――」
「発田さんの家を売ったらどうです」
「ええ。出来ましたらね。女房が田舎に戻りたいと言っていますんでね」