Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ボロやのしゅんじゅう
ボロ家の春秋
梅崎 春生
Lesen Sie ボロ家の春秋 (ボロやのしゅんじゅう) von 梅崎 春生 (うめざきはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.411 Zeichen · 263 Bildschirme
バスが動き出すと彼は片手を伸ばして僕の外套の釦をつまみ廻した。
「この釦は俺の祖父さんが、撃取った鹿の骨だ。九州は背振山よ。六角形してるだろ。いい職人だったぜ。そこらの釦とは違うんだ」
「お前の祖父さんが猟師だったとは知らなかったよ」
と僕が言った。しかし彼は聞かない振りして、そして今度は大声でこの外套の由来や来歴について講釈を始めたのだ。大きな声だから皆が此方を見る。自分の外套ならともかく他人が着用している外套について講釈するのだから、着ている当人の僕だって居心地がよくない。皆が僕の顔を見て笑っているようである。その時になって僕は、彼が外套を手離したのを口惜しがっていることに気がついたのだ。
バスが終点についた時僕は言ってやった。
「口惜しがるのは止せ。欲しければくれてやるよ」
「俺は他人の慈善は受けん」と彼は憤然とした口調で答えた。「俺は物貰いじゃない」
「じゃこの外套は永遠に俺のものだな」
「そう簡単には行かん。俺が欲しくなれば、お前から貰うのは厭だから力ずくで剥取るよ」
「へへえ」と僕は少し驚いた。「この間の口吻とは打って代った転向だな」
「そうよ。俺はお前の言うような星菫派じゃない」