Japanische Klassiker mit Furigana
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ボロやのしゅんじゅう
ボロ家の春秋
梅崎 春生
Lesen Sie ボロ家の春秋 (ボロやのしゅんじゅう) von 梅崎 春生 (うめざきはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.411 Zeichen · 263 Bildschirme
――わしが代ってやる。もっともっと混んで来るんだ。姐ちゃんの力じゃ押し落されるぜ。さあ代ったり代ったり。俺が扉口の栓になったる。
混んでるのを身体を入れ替え入れ替えしてそのおっさんが栓の位置に頑張ることになった。娘はやっと車内に入れたわけさ。俺か。俺は押されておっさんと身体を接する破目となった。おっさんは片手で車体の真鍮の棒を握り片手で大きなリュックの紐を握っている。リュックはおっさんの脚と俺の脚の間にあるわけさ。そんな具合で電車は走り出したんだ。
俺は揺られながら、先刻の気持を反芻するように思い出していた。あの駅の前の気持は一時の露悪的な亢奮じゃないのか。そうも考えた。しかしその荒んだ気持はその時もまだ続いていた。先刻のような毒々しい喜びはもはや消えていたが、その代りに静かな怒りのようなものが、俺の胸いっぱいに拡がっていた。俺は俺の過去のことを考えていたのだ。
会社に勤めていた時、俺は真面目な会社員だった。俺は良く働いた。俺は悪いことをしなかった。誰からも後ろ指をさされなかった。俺は適度に出世し皆からも好かれた。そしたらいきなり会社が解散と来やがら。