Japanische Klassiker mit Furigana
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ボロやのしゅんじゅう
ボロ家の春秋
梅崎 春生
Lesen Sie ボロ家の春秋 (ボロやのしゅんじゅう) von 梅崎 春生 (うめざきはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.411 Zeichen · 263 Bildschirme
他人の外套を剥いだということが、何故こんなに気持が良いのだろう。それは何故だろう。そんなことを考えつつ俺は背後から押して来る圧力に耐えようとしながら、肩をしかと扉口の栓の男の胸に当てていた。その時俺はふと気がついたんだが、真鍮の棒を握りしめたその男の指が白く血の気を失っているのだ。それほど必死に握っているのだ。無理もないのだ。おっさんの体は半分以上車体の外に出て、車が揺れる度に俺の肩が背後の圧力を加えておっさんの胸にぐっとのしかかるのだ。しかし人間の自尊心というものはおそろしいものだな。そんなになってもおっさんは笑っているんだ。笑いといえるかな。顔を歪めておっさんは明かに笑おうと努力しているのを俺ははっきり見た。
人がだんだん立ち込めて来た。とにかく身動きができないのだ。始め扉口にいたあの娘な、あれが俺の脇にいたが、曲った俺の姿勢から俺の眼は、女の下半身が一部分見えるのだ。女はやはり人にはさまれて動けないらしいが、どういう加減かスカアトが捲れたままに押しつけられていて、白い腿が俺の眼に見えるのだ。こんな寒いのに女は素足だった。真白い腿だった。電車がカアヴにかかる毎にその腿が緊張する。