Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ボロやのしゅんじゅう

ボロ家の春秋

梅崎 春生

Lesen Sie ボロ家の春秋 (ボロやのしゅんじゅう) von 梅崎 春生 (うめざきはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.411 Zeichen · 263 Bildschirme

Aozora Bunko

どうして一々鍵をかけるんだね。面倒くさいじゃないか」

「そう思うんですがねえ」

フクさんは困ったような顔になりました。

「つまりおやじさんの自家用酒という名目にしてあるのかね?」

「それが逆なんですよ」

フクさんは以前はぶすっとした無愛想な女で、タバコ商売はそれで通ったけれど、酒やおでんの商売ともなると、適当に相槌なんかも打たなきゃならない。割に正直な女で、ウソがつけないたちなのです。

「鍵をかけとかなきゃ、うちの人がいつの間にか飲んでしまうんですよ」

「ふうん。商売用を飲まれては、立つ瀬がないやね。困ったもんだ」

大久保はおでんを横ぐわえにしごきながら、わざとらしい嘆声を発しました。

「早いとこ神経科の医者に診せたらどうだね? 今のままじゃ、果てしがないよ」

「そう思うんですけどね、それを言い出すとぷんぷん怒るんです。困っちゃうんですよ」

ぼくなら余計なお世話だと黙殺するところですが、ここらは向う三軒両隣的人情でつながっているので、突っぱねるわけには行かない。大久保はよせばいいのに、図に乗って提案しました。

「なんならおれが説得して上げようか。おれは役人だし、おかみさんより少しは睨みがきくだろう」