Japanische Klassiker mit Furigana
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ボロやのしゅんじゅう
ボロ家の春秋
梅崎 春生
Lesen Sie ボロ家の春秋 (ボロやのしゅんじゅう) von 梅崎 春生 (うめざきはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.411 Zeichen · 263 Bildschirme
僕ははらわたが煮えくりかえって、彼方で莨をふかしている野呂に文句つけようと思ったが、じっと辛抱しました。野呂が畳を入れ替えたという物的証拠がなかったからです。現行犯をおさえたと言うならともかく、畳の色だけでは、相手が詭弁の大家の野呂のことですから、水かけ論に終るに決っています。だから浮かしかけた腰を元に戻し、じっと野呂をにらみつけると、野呂はそっぽを向いてにやりと笑いました。憎らしいったらありゃしません。
それから、ネコのこと。ネコというのは野呂が飼っている猫で、名前がネコとつけられているのです。まったく野呂らしい名付け方です。このネコが僕の部屋にのそのそと入って来て、とかくキャンバスに爪を立てたがる困った傾向がある。これはこのネコ生来の性質かと思っていたのですが、よく注意していると、どうもそうではないらしい。キャンバスを見れば条件反射的に爪を立てるような訓練を、野呂がネコにひそかにほどこしているらしいのです。いろんな手を考えては来るものですねえ。帆布でつくったリュックサックを野呂は持っていますが、この間風呂から帰って来て何気なく野呂の部屋をのぞき込むと、彼はその中に猫を入れて、ぎゅうぎゅうしめ上げていたのです。