Japanische Klassiker mit Furigana
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ちゅうごくかいきしょうせつしゅう
中国怪奇小説集
岡本 綺堂
Lesen Sie 中国怪奇小説集 (ちゅうごくかいきしょうせつしゅう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 179.458 Zeichen · 363 Bildschirme
昭義の地方に旅寝して、ある夜ある駅に泊まって、まさに足をすすごうとしているところへ、青の張という役人が数十人の供を連れて、おなじ旅舎へ乗り込んで来た。相手が高官とみて、孟は挨拶に出たが、張は酒を飲んでいて顧りみないので、孟はその倨傲を憤りながら、自分は西の部屋へ退いた。
張は酔った勢いで、しきりに威張り散らしていた。大きい声で駅の役人を呼び付けて、焼餅を持って来いと呶鳴った。どうも横暴な奴だと、孟はいよいよ不快を感じながら、ひそかにその様子をうかがっていると、暫くして注文の焼餅を運んで来たので、孟はまた覗いてみると、その焼餅を盛った盤にしたがって、一つの黒い物が入り込んで来た。それは猪のようなものであるらしく、燈火の下へ来てその影は消えた。張は勿論、ほかの者もそれに気が注かなかったらしいが、孟は俄かに恐怖をおぼえた。
「あれは何だろう」
孤駅のゆうべにこの怪を見て、孟はどうしても眠ることが出来なかったが、張は酔って高鼾で寝てしまった。供の者は遠い部屋に退いて、張の寝間は彼ひとりであった。その夜も三更(午後十一時―午前一時)に及ぶころおいに、孟もさすがに疲れてうとうとと眠ったかと思うと、唯ならぬ物音にたちまち驚き醒めた。