Japanische Klassiker mit Furigana
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アラスカのひょうが
中谷宇吉郎紀行集 アラスカの氷河
中谷 宇吉郎
Lesen Sie 中谷宇吉郎紀行集 アラスカの氷河 (アラスカのひょうが) von 中谷 宇吉郎 (なかやうきちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 122.039 Zeichen · 248 Bildschirme
ここはこの附近では比較的大きい港町とかで、プラットホームから防波堤なども見えた。海は益々荒れていた。厚い層雲がひくく全天を蔽い、ただ水平線の近くだけが晴れていた。その晴間は、薄紫を帯びて青く光り、冷くて透明な感じに見えた。この高緯度の土地に特有な美しい色の空と鉛色に重い層雲との境は、ひどくきわ立っていた。
プラットホームに下り立ってみると、風は寒かった。ホームの石畳の上には沢山の荷物が投げ出してあった。ランプのほやが藁づとの隙間から見えていたのも、樺太らしい印象であったが、それよりも私には、野菜を入れた籠の方が強く心に残った。籠の中には、萎びた玉葱と、半分腐った茄子とが一杯詰っていた。もうこの時期から、このように野菜に苦しんでいるようでは、冬のことが思いやられる。厳寒地の生鮮蔬菜の貯蔵の問題は、満州などでも大分騒がれているようであるが、樺太の北の果ではどうなっているのであろう。その研究が低温科学の一つの問題として、本式に採り上げられる日を、そう便々としては待っていられないような気持になった。
目的地に着いた時は、もう真暗であった。闇の中で迎えの馬車に乗せられて、これもまた真暗な道を大分行って、やっと宿へ着いた時には、さすがにほっとした。