Japanische Klassiker mit Furigana
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アラスカのひょうが
中谷宇吉郎紀行集 アラスカの氷河
中谷 宇吉郎
Lesen Sie 中谷宇吉郎紀行集 アラスカの氷河 (アラスカのひょうが) von 中谷 宇吉郎 (なかやうきちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 122.039 Zeichen · 248 Bildschirme
宿は案外にちゃんとした家であった。つい近頃まではすっかり淋れ切っていたそうで、部屋などもひどく傷んではいたが、調度や立て付けの端々に、昔のこの町の繁栄の名残がしのばれるような家であった。恐ろしく立派な木を使った一間幅の板戸がはいっていて、その板目が黒ずんで光っていた。風呂が沸いているというので、三人は大喜びで風呂場へ行った。その洗面所の流しにも銅がはってあり、傍に立派な厚い銅の湯沸しが置いてあった。思いがけない土地に、思いがけぬものを見たという感じであった。
次の日は朝早く起きた。
空は一点の雲もない快晴であったが、地の面には一面に霜が真白くおりていた。風のない清々しい冷さの朝であった。
色々用事だの打合せだのをすませて、いよいよツンドラ地帯の工事場へ出た時は、小春の陽が背にあたたかい、恵まれた日になっていた。工事場はもうツンドラを剥がして、下の真黒い泥炭がむき出しになっていて、凸凹と歩きにくかった。それでも今が樺太で一番の乾燥期で、この時期なればこそツンドラ地帯に踏み入ることも出来るが、雨期になると、ずぶずぶと足が沈んでどうにもならぬ土地だという話であった。