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Japanische Klassiker mit Furigana

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『ケプロン・くろだのこうそう』について

中谷宇吉郎集 第八巻

中谷 宇吉郎

Lesen Sie 中谷宇吉郎集 第八巻 (『ケプロン・くろだのこうそう』について) von 中谷 宇吉郎 (なかやうきちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 85.890 Zeichen · 178 Bildschirme

Aozora Bunko

娘の結婚

どうしたわけか、この近年、天下国家を論ずるような巡り合せに会うことが多く、身辺の雑事を書く機会が、ほとんどなかった。本当のところは、随筆などというものは、少し照れながら子供の自慢話でも書いている方が、一番気楽でもあり、また無難でもある。

娘の結婚には、親は誰でも気を揉むが、さて愈々嫁に行ってしまうと、一番がっかりするのは、父親だという話を、前から聞いていた。しかし、その実感は、ちっとも感ぜられなかったが、初めてなるほどと思ったのは、茅(誠司)さんの長女の結婚のときであった。晶子という娘で、今度嫁に行ったうちの長女咲子と、子供の時からの仲良しである。不思議なことに、非常によく似ていて、子供の頃の写真を見ると、親でも間違うくらいである。

茅さんが、北大へ行く前、東北大学で、鉄やニッケルの単結晶をつくり、その磁性の研究で、今日の世界の物性論の先駆をなす仕事をした。その頃産れたので、それにちなんだともいい、また「愛の結晶」からきたともいわれている。

この結晶が嫁に行ってから暫くの間、茅さんは、非常に淋しそうであった。その後、同じ仲間の一人吉田(洋一)さんの娘が結婚した時、その披露の席で、茅さんがしみじみと述懐をした。