Japanische Klassiker mit Furigana
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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
Lesen Sie 丹下左膳 (たんげさぜん) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 340.187 Zeichen · 666 Bildschirme
「うぬウッ!」
と左膳は、動発自在の下段につけて、隻眼を八方にくばるばかり……重囲脱出の道を求めているのだ。
暮れをいそぐ冬の陽脚。
そして、夕月。
樹も家も人の顔も、ただ血のように赤い夕映えの一刻に、うすれゆく日光にまじって、月はまだひかりを添えていなかった。
刃火のほのおと燃えて天に冲するところ、なんの鳥か、一羽寒ざむと鳴いて屋根を離れた。
縁側に立って、うっとりこの力戦を眺めている源十郎は、剣香に酔って抜くことも忘れたものか――いわんや、おさよ婆さんなぜか足音をぬすんで、とうの昔にその座敷をまぎれ出ていたことには、かれはすこしも気がつかなかった。
上役人に刃向かって左膳を救い出すか……それとも、友を見棄てておのれの安穏を全うすべきか?
この二途に迷いながら、ひとつにはただぼんやりと、いま庭前に繰りひろげられてゆく剣豪決死の血の絵巻物に見とれている源十郎。
かれは片手に大刀をさげ、片手で縁の柱をなでて左膳の剣が捕吏の新血に染まるごとに、
「ひとウつ! ふたアツ! それッ! 三つだ! 三つだアッ! ほい! 四つッ!」と源十郎、子供が、木から落ちる栗でも数えるように指を突き出しては喜んでいると!