Japanische Klassiker mit Furigana
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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
Lesen Sie 丹下左膳 (たんげさぜん) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 340.187 Zeichen · 666 Bildschirme
しかし一度引っこむと二度は出られない。こうして最後に勝ちっ放したのが一の勝者という仕組みである。
出たかと思うと。すぐ参った! とばかり、帰りがけに早々お面をはずしてくる愛嬌者もある。早朝から試合がつづいて、入れ代わり立ちかわり、もう武者窓を洩れる夕焼けの色が赤々と道場を彩り、竹刀をとる影を長く板の間に倒している。
内試合とは言え、火花が散りそう――。
時は、徳川八代将軍吉宗公の御治世。
人は久しく泰平に慣れ、ともすれば型に堕ちて、他流には剣道とは名ばかりで舞いのようなものすらあるなかに、この神変夢想流は、日ごろ、鉄斎の教えが負けるな勝て! の一点ばりだから、自然と一門の手筋が荒い。ことに今日は晴れの場、乾坤の刀――とそれに!
道場の壁に大きな貼り紙がしてある。
勝った者へ弥生をとらせる! 先生のひとり娘、曙小町の弥生様が賭競りに出ているのだ。なんという男冥利、一同こころひそかに弓矢八幡と出雲の神をいっしょに念じて、物凄い気合いをただよわせているのもむりではない。誰もが一様に思いを寄せている弥生、剣家の娘だから恨みっこのないように剣で取れ――こう見せかけながら、実は鉄斎の腹の中で技倆からいっても勝つべき若者――婿として鑑識にかなった諏訪栄三郎という高弟がひとりちゃんと決まっていればこそ、こんな悪戯をする