Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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たんげさぜん

丹下左膳

林 不忘

Lesen Sie 丹下左膳 (たんげさぜん) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 340.187 Zeichen · 666 Bildschirme

Aozora Bunko

背にした箱の脇差坤竜!

それはやがて乾雲をひきつけるよすがである。

――こうして泰軒先生と栄三郎との奇妙な生活のうえに、こともなく日が重なって来たのだったが!

それが今朝!

日本橋銀町伊兵衛棟梁の家の前で、お艶はべに絵売りの栄三郎を見かけた……けれど、栄三郎は気がつかずに通り過ぎてしまった。

風流べに絵売りの栄三郎と、芸者夢八のお艶と――そのたがいに変わった姿に泣いたのは、だからお艶だけだったのである。

いま……真夜中近い亥の刻。

突如ムックリ起きあがった泰軒、何を思い出したか、

「栄三郎どの、だまってついて来なさい」

とひとりサッサとはやもう戸口におり立っていた。

すっかり浪人風に返った栄三郎、武蔵太郎安国と坤竜丸をぶっちがえて、泰軒とともに露地を立ち出でた時、中空に月は高く、そして地には、かれのあとから、またもや大小ふたつの影が動くともなくつけていた。

「ね、伊織さん、殺らしちゃいけねえんですね?」

小の影――山椒の豆太郎、チョコチョコ走りに追いつきながら、こう声を忍ばせた。

人通りのない、両国広小路である。

月のみ白く、町は紺いろに眠っていた。