Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

たんげさぜん

丹下左膳

林 不忘

Lesen Sie 丹下左膳 (たんげさぜん) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 340.187 Zeichen · 666 Bildschirme

Aozora Bunko

うす暗い。

となりは、ほとんどもう闇黒に近い室内。

そこに、神鏡のように茫ッと白く浮かんでいる老人の顔を見ると、弥生は、はじめて気がついたようにあたりを見まわした。

「あれ! まだお灯が入っておりませんでございましたか。どうも不調法を……ただいま持って参りまする」

と弥生、そこは天性で、もとを知られているこの老人の前へ出ると、小野塚伊織のはずの弥生、いつも本来の女性に立ち返って、じぶんでもふしぎなくらい自然に、言葉さえもただの弥生になるのだった。

四六時ちゅう、みずから意を配って男のように立ち振舞っているだけに、こうしてしばらくにしろ、その甲冑を脱ぎ捨てて女の自分に戻ることは、泣きたいような甘いこころを、つと弥生の胸底にわかさずにはおかない。

老士は口を開かない。

が、この弥生の心もちを伝え知ったかのように、剃刀のように冷やかだった眼色にやさしみが加わって、やがて、ぽつりといいきった声には不愛想ながらも、どこかに児に対するごとき一脈親愛の情がのぞき見られた。

「灯はいらぬ」

そして、珍しく、かすかな笑顔が小さく闇黒に揺れた。

「暗うても会話は見えるでな」