Japanische Klassiker mit Furigana
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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
Lesen Sie 丹下左膳 (たんげさぜん) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 340.187 Zeichen · 666 Bildschirme
「ホホホ! それはそうでございます」若侍の伊織が、娘の弥生として笑う。
そこに、妙に奇異な艶めかしさが動くのだった。
「して、そのおはなしと申しますのは?――なんでございましょう?」
すると、老人はしばらく沈思していたが、
「伊織どの! いや、弥生殿……のう、伊織が弥生であることに、まだ誰も気づいた者はありませぬかな」
ギョッ! としたらしく弥生はにわかに肩をかくばらせて男のていに返りながら、
「はじめから御存じの先生とお弟子衆のほかは、たれ一人として知るものはないはずにござりまする」
「うむ。かの、豆太郎とか申した人猿めは?」
「は。きゃつとて何条疑いましょう! いうまでもなく、わたしを男と思いこんでいるふうにござりまするが、今宵に限って、先生には何しにさようなことをおたずねなされますか」
老士の膝が、一、二寸前方へ刻み出た。
「いささか気になるによって聞いたまでで、大事ない。だが弥生どの、ぬかりはござるまいが、けどられぬよう十分にナ……」
弥生がうなずいた拍子に、それを合図に待っていたかのごとく、うらの竹やぶに咽喉自慢の豆太郎の唄声。
坂は照る照る。
鈴鹿は曇る。