Japanische Klassiker mit Furigana
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ぼしぞう
久生十蘭短篇選
久生 十蘭
Lesen Sie 久生十蘭短篇選 (ぼしぞう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 48.344 Zeichen · 96 Bildschirme
いつもの通り……雨絣の本薩摩に革模様の紺博多、結城の紺足袋というお支度で、白扇をブラブラさせながら車に入ってくると、「お暑いですな。こんじつは、お誘いくだすってありがとう」なんて、ひどくツンツンしているんです。
なんですって? 聞き捨てにならないことをおっしゃるわね。あなたなら、どうされたってうれしいでしょうけど、あたしのほうは、さようなわけにはまいりませんの。そんな扱いをされるおぼえはないんですから、どうしたんだろうと考えていると、すぐアタリがついたわ。ツンツンしているわけじゃないの。いささか無常を感じ、人間臭いものはみな嫌、てな心境にいるんですワ……えらい。見ぬいたわね。ええ、そうなのよ。昨夜、いまは亡き愛人の仮りの姿に出っくわしたせいで、浮世がはかなくなって、ぼーっとしているところなの。こういう迂闊なひとに、幽霊が足を生やして、半礼装の裾をパタパタさせながら逃げだすという厳粛な実景を見せて、生悟りに活をいれてやるのは、友情というようなものでしょう……それァあたしだって、考えないわけはなかろうじゃありませんの。死んだのではなかったと知ったら、木津さんはまた逆上して、志貴子をつけまわすにきまっている。