Japanische Klassiker mit Furigana
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ぼしぞう
久生十蘭短篇選
久生 十蘭
Lesen Sie 久生十蘭短篇選 (ぼしぞう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 48.344 Zeichen · 96 Bildschirme
放っておくと、二人でどこかへ行ってしまいそうで、あぶなくてしょうがないから、離すわけにはいかない。おさえつけておいて、木津さんの眼の前で嘘の皮をひンむいて見せないと、木津さんなんてひとは、どんな化かされかたをするか知れたもんじゃないから、二人に追いついて、「ちょいと志貴子さん」と声をかけると、志貴子のやつ、びっくりした顔もしないで、「うち、志津子……まちがわんといとうわ」とすらりと受流したものなの。「あら、ごめんなさい。あまりよく似ていらっしゃるもんだから、錯覚を起してしまうのよ」「まあ、お上手やこと。うち、姉はんみたい綺麗なことあれしません。そないにいわれるときまりわるいよってに、やめとほしわ」「なんとかおっしゃるわ。それはそうと、このままお別れするのもなんですから、ごいっしょに夕食でもいかが。目黒の松柏園なんだけど、どうかしら」
志貴子は、はあといって、これが、ぜんぜん煮えきりません。「これから、どこかへおまわりになる?」「まわるとこて、あれしませんけど……木津さん、どないしはります?」志貴子が甘ったれたようなことをいうと、木津さんは木津さんで、「それはもう、結構すぎるくらいですが」