Japanische Klassiker mit Furigana
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ぼしぞう
久生十蘭短篇選
久生 十蘭
Lesen Sie 久生十蘭短篇選 (ぼしぞう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 48.344 Zeichen · 96 Bildschirme
ただうるさいと思うばかりで、手きびしい抗議も軽く念頭を擦過するだけのことだったが、際限もなくせっついてくるので、そんなに朝霞が邪魔なら、尼寺へやるなり殺すなりいいようにしたらよかろうといってやると、では勝手ながらこちらで埒を明けるから悪しからずという返し文が届いた。
それから三日ばかり後の夜、泰文の留守へ朝霞の兄の清成と清経が五人ばかりの青侍を連れてやってきて、朝霞のいる葵ノ壺へ行った。朝霞は褥に入っていたが、橋廊下を渡ってくる足音におどろいて起きあがると、長兄の清成が六尺ばかりの綱を、次兄の清経が三尺ほどの棒を持って入ってきたのを見た。
「あなたたちはこの夜更けに、なにをしにいらしたんです」
「気の毒だが、お前を始末しにきた。なにしろこんな因縁になってしまって」
「それは泰文の言いつけなんですか」
「そうだ」
と清経がうなずきながらいった。
「なにかしたいことがあったら言いなさい。ここで待っているから」
「なにといって、べつに。どうせこんなことになるのだろうと思っていましたから」
「それはいい覚悟だ。花世はとなりに寝ているのだろう。むこうへやっておくほうがよくはないか」