Japanische Klassiker mit Furigana
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ぼしぞう
久生十蘭短篇選
久生 十蘭
Lesen Sie 久生十蘭短篇選 (ぼしぞう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 48.344 Zeichen · 96 Bildschirme
このまま放っておくと、いずれ姉とおなじようなことをやりだすにちがいない。このうえまた一千貫では精がきれる。ともかく悪智慧をつけられないように、公子から離しておくにしかずと思い、花世を二階の殿舎に追いあげ、食事も自分で運んで行くという念の入った用心をしていたが、思春の情はなにものの力でもおさえることのできない人性の必然であって、そのほうを始末するのでなければ、完全におさえつけたという満足はえられないわけだと、放蕩者だけあっていみじくもそこに気がついた。足りないものをみたし、性の満足さえ与えておけば、嫁に行きたいなどという出過ぎた考えを起さず、いつまでも手元に落着いていることだろう。ほしいものを宛てがえばいいといっても、そこらあたりの青侍や下司をおしつけて孕まれでもしては事面倒である。どうしようかと首をひねったすえ、そんならば父親の自分が娘の恋人の役を勤めたらよろしかろう。これ以上安上りなことはなく、手軽でもあり安心でもある、というところへ考えを落着けた。それでさっそく花世を呼び、こんな罰あたりなことをいって丸ろめこみにかかった。
「お前も、いずれは子をひりだす洞穴を持っているわけだが、おなじ生むなら、聖人になるような立派な子を生むがいい。