Japanische Klassiker mit Furigana
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ぼしぞう
久生十蘭短篇選
久生 十蘭
Lesen Sie 久生十蘭短篇選 (ぼしぞう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 48.344 Zeichen · 96 Bildschirme
これまでの例では、泰文は危難にそなえて大勢伴を連れて行くから、かならず仕終せるとは思えない。油断のない泰文のことだから、こんどの八坂行はわれわれ二人も伴って、目のとどくところへ置くにちがいない。それに奔放自在な泰文に立ちむかうには、緻密に考えた計画はむしろ邪魔なので、その場の情況に応じて咄嗟に断行するといった伸縮性のある方法のほうが、成功の公算が多いのではあるまいか。われわれはいつも泰文のそばにいるのだから、抜目なくかまえていれば、かならずいい折を発見することが出来ると思う。お前はいつなんどき合図があっても、すぐに行動ができるように、近いところにいて気をつけていてもらいたい。善世は、ごもっともなお考えであるといい、それで相談がまとまった。
七夕と虫払いがすむと、泰文は急に八坂へ行くといいだした。暑気を避けるより、十四日の盆供に伜どもの墓を賑やかに飾りたて、谷の上の細殿からゆっくり見おろしてやろうという目的らしかった。予期されたように公子と花世もいっしょに行くことになり、檳榔毛の車に乗って、まだ露のあるうちに邸の門を出た。犬養ノ善世は狩衣すがたで車のわきにつき、ときどき汗を拭きながらむっつりした顔で歩いているのが袖格子の隙間から見えた。