Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ぼしぞう
久生十蘭短篇選
久生 十蘭
Lesen Sie 久生十蘭短篇選 (ぼしぞう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 48.344 Zeichen · 96 Bildschirme
と、けげんな顔でたずねた。
「そうよ、ここが巴里よ」
滋子がうなずいてみせると、やすは、
「へえ、これが巴里」
あきれたような顔で煤ぼけた駅前の広場を見まわしていると、襤褸買いがオ・タビ・ラ・シフォニと触れながら横通りから出てきた。やすは、
「うむ、巴里もいいところがあるね。宝船を売りにきた。そら、おたから、おたからといっている」
「冗談じゃないわ。巴里で「なみのりふね」なんか売りにくるもんですか。あれは古服や襤褸のお払いといっているの。さあ、このタクシーよ」
タクシーが走るにつれて、やすはだんだん機嫌が悪くなって、
「巴里ってずいぶんしみったれたところなんだねえ。若旦那、なにがよくて七年も八年もこんなところでまごまごしているんだろう。子供のとき世界一周唱歌で、花のパリス来てみれば月影うつすセイン河ってうたったもんだけど、まるっきり絵そらごとだったよ。呆れたねえ」
と、こきおろしはじめた。滋子はつくづくとやすの顔を見て、
「呆れるのはこっちのことだわ。こんなところまで一人でトコトコやってくるなんて、いったいどうしたというわけなの」
やすは案外な落着きかたで、