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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぼしぞう

久生十蘭短篇選

久生 十蘭

Lesen Sie 久生十蘭短篇選 (ぼしぞう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 48.344 Zeichen · 96 Bildschirme

Aozora Bunko

「ラケダイモンというのは、スパルタ人のことなの……二千年も前に、スパルタの兵隊が、何百倍というペルシャの軍隊とテルモピレーというところで戦争をして、一人残らず戦死しました。その古戦場に、こういう文章を彫りつけた石の碑があったというんです……スパルタ人は偉いわね。あなただって、負けちゃいられないでしょう」

母は親子二人のギリギリの最後を、歴史のお話と掏りかえて、夢のような美しいものにしようとしている。

「いよいよ死ぬんだな」とつぶやき、自分の死ぬところをぼんやりと想像してみた。眼の下の磯や、断崖の上から、親と子が抱きあったり、ロープで身体を結びあわしたりして、毎日、いく組となくひっそりと海に消えて行く。あんな風に母と手をつないで死ぬのだと思うと、すこしも悲しくはなかった。

夕焼けがして、ふしぎに美しい夕方だった。母が六尺ばかりの麻紐を持って、太郎を洞窟の外へ誘いだした。

「多勢の人にみられるのは嫌でしょうから、外でやってあげます」

首を締められて、一人で死ぬなどと考えたこともなかったが、あきらめて、母の気にいるように、うれしそうに身体をはずませながら、けわしい崖の斜面をのぼって行った……。