Japanische Klassiker mit Furigana
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にひゃくとおか
二百十日
Lesen Sie 二百十日 (にひゃくとおか) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 29.466 Zeichen · 60 Bildschirme
手拭の運動につれて、圭さんの太い眉がくしゃりと寄って来る。鼻の穴が三角形に膨脹して、小鼻が勃として左右に展開する。口は腹を切る時のように堅く喰締ったまま、両耳の方まで割けてくる。
「まるで仁王のようだね。仁王の行水だ。そんな猛烈な顔がよくできるね。こりゃ不思議だ。そう眼をぐりぐりさせなくっても、背中は洗えそうなものだがね」
圭さんは何にも云わずに一生懸命にぐいぐい擦る。擦っては時々、手拭を温泉に漬けて、充分水を含ませる。含ませるたんびに、碌さんの顔へ、汗と膏と垢と温泉の交ったものが十五六滴ずつ飛んで来る。
「こいつは降参だ。ちょっと失敬して、流しの方へ出るよ」と碌さんは湯槽を飛び出した。飛び出しはしたものの、感心の極、流しへ突っ立ったまま、茫然として、仁王の行水を眺めている。
「あの隣りの客は元来何者だろう」と圭さんが槽のなかから質問する。
「隣りの客どころじゃない。その顔は不思議だよ」
「もう済んだ。ああ好い心持だ」と圭さん、手拭の一端を放すや否や、ざぶんと温泉の中へ、石のように大きな背中を落す。満槽の湯は一度に面喰って、槽の底から大恐惶を持ち上げる。