Japanische Klassiker mit Furigana
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じんがいまきょう
人外魔境
小栗 虫太郎
Lesen Sie 人外魔境 (じんがいまきょう) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 101.713 Zeichen · 205 Bildschirme
折竹は、おのぶサンを呼んで、険しい目で見つめ、
「君は、昨日僕の命じたとおりに、言ったのだろうね。ケプナラ、ザンベック両君に避難しろって」
「ああ、あんなこと」と、おのぶサンはケロッとして、
「あたし、なんだか忘れてしまったらしいよ」
「馬鹿っ」と怒気心頭に発した折竹ががんと一つ殴りつけ、
「なんのために……。君は、あの二人を殺してしまったも、同じだ」
「殺していいでしょう。どうせ、殺さなければ今夜あたり、あんたが殺られるにきまっているから……」
「なに」
と、気を抜いたところへおのぶサンの手が伸びて、折竹の頸筋をつかみ、ぐいと吊しあげた。河馬女の大力には、彼も敵わない。そのまま、片手にさげた彼をぐんぐん運んでゆき、氷罅のなかへぶらんと宙吊りにしたのだ。
「人が、せっかくお前さんを助けてやったのに、引っ叩くなんて……しばらく恐い思いをして、頭を冷ますがいい。お前さんは、ルチアノの『フラム』号をどう思っているね」
「オイ、上げろよ」折竹も悲鳴をあげはじめた。下をみれば、千仭の底から燃えあがる、青の光。
「じつを話すと、あのロングウェルとルチアノは同腹なんだよ。一体、アメリカというのがそんなところで、正邪も仇同志も一度実業となれば、それまでの行き掛りなんぞは、何でもなくなってしまうんだ。