Japanische Klassiker mit Furigana
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じんがいまきょう
人外魔境
小栗 虫太郎
Lesen Sie 人外魔境 (じんがいまきょう) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 101.713 Zeichen · 205 Bildschirme
その数週後、イランのテヘランへゆき準備を整え、見えない焔の塩の沙漠へむかったのである。
まず、そこまでの炎熱の高原。大地は灼熱し、溶鉱炉の中のよう。きらきら光る塩の、晦むような眩ゆさのなか。
その、土中の塩分がしだいに殖えてゆくのが、地獄の焦土のようなまっ赭な色から、しだいに死体のような灰黄色に変ってゆく。やがて塩の沙漠の外れまできたのである。そこは、一望千里という形容もない。晃耀というか陽炎というか、起伏も地平線もみな、閃きのなかに消えている。ただ、天地一帯を覆う、色のない焔の海。
「そろそろ、儂らも焼けてきそうな気がするよ」
とセルカークがフウフウ言いながら、もうこれ以上はというように、折竹をみる。
「死ぬだろうよ。日中ゆけば燃えてしまうだろう」
「脅かすな」
とセルカークは心細そうに笑って、
「頼むよ。俺は君に、全幅の信頼をかけている」
「マアね、君を燃やすことは万が一にもあるまいが……、とにかく、われわれは日中を避けねばならん。夜ゆく。それで、今夜の強行軍でどこまで行けるかということが、覗き穴発見のいちばん大切なところになる。ねえ、地図でみると、台地があるね。