Japanische Klassiker mit Furigana
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じんがいまきょう
人外魔境
小栗 虫太郎
Lesen Sie 人外魔境 (じんがいまきょう) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 101.713 Zeichen · 205 Bildschirme
帰ろう。今夜は蘚苔のなかへ寝て、明日は戻ろう」
しかし、それがもう出来なくなっていたというのは、なにも、さっき掘った洞が塞ったというのではない。とにかく、その夜四人を包みはじめた不思議な力をみれば分る。つまり「天母生上の雲湖」の掟に従わされたのだ。その夜、なにやらケティが草に言いはじめた。
「マァニの草、あたしに惚れたって、お前じゃ駄目よ。そんなに、べたべた付着いたって、あたしゃ嫌」
よく、野葡萄の巻鬚の先の粘液が触れるように、ケティにベタベタ絡みついてくる草がある。その情緒を知らせる微妙な力が、彼女をじわりじわりと包んでいった。そこへ、相応じたようにケルミッシュも言う。
「そうかね、この草は寒いと言っている。サアサア、がたがた顫えなくても僕が暖めてやる」
それは、咳嗽菽豆に似た清潔好きな小草で、塵がはいると咳嗽のようなガスをだす。そして、いきんだように葉をまっ赤にして、しばらく、ぜいぜい呼吸をきるように茎をうごかしている。そういう植物の情緒や感覚が触れてくる、二人はもう普通の人ではない。ダネックも折竹もつつき合うだけで、見るも聴くも気味悪そうに黙っていた。