Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
のびじたく
伸び支度
島崎 藤村
Lesen Sie 伸び支度 (のびじたく) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.120 Zeichen · 13 Bildschirme
金之助さんという名前からして男の子らしく、下ぶくれのしたその顔に笑みの浮かぶ時は、小さな靨があらわれて、愛らしかった。それに、この子の好いことには、袖子の言うなりになった。どうしてあの少しもじっとしていないで、どうかすると袖子の手におえないことが多かった光子さんを遊ばせるとは大違いだ。袖子は人形を抱くように金之助さんを抱いて、どこへでも好きなところへ連れて行くことが出来た。自分の側に置いて遊ばせたければ、それも出来た。
この金之助さんは正月生まれの二つでも、まだいくらも人の言葉を知らない。蕾のようなその脣からは「うまうま」ぐらいしか泄れて来ない。母親以外の親しいものを呼ぶにも、「ちゃあちゃん」としかまだ言い得なかった。こんな幼い子供が袖子の家へ連れられて来てみると、袖子の父さんがいる、二人ある兄さん達もいる、しかし金之助さんはそういう人達までも「ちゃあちゃん」と言って呼ぶわけではなかった。やはりこの幼い子供の呼びかける言葉は親しいものに限られていた。もともと金之助さんを袖子の家へ、初めて抱いて来て見せたのは下女のお初で、お初の子煩悩ときたら、袖子に劣らなかった。