Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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えせものがたり

似而非物語

山本 周五郎

Lesen Sie 似而非物語 (えせものがたり) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 31.817 Zeichen · 64 Bildschirme

Aozora Bunko

「先生にお願いがございます」

二之木が云った。

「きいて頂けますでしょうか」

「――なんだや」

「あの娘たちの来るのを禁じて戴きたいのです」

「――どうしてだや」

「御存じの如くわれわれは専心不乱、剣道の奥義を会得するために念々修業しております、しかるにあの娘たちは淫卑猥雑、けがらわしき言動を以てわれわれを悩まし、神聖なる草庵を汚涜いたします、かようなありさまでは修業の妨げになりまするし、元来かかる道場へ女どもを近よせることが如何かと存じます、どうか今後は固く出入りを禁じて戴きたいのです」

杢助は二之木を見、それから他の四人を順に見た。きせるに煙草を詰め、燧袋を取って、ゆっくりと煙草をふかした。

「おめえにきくだが」

と杢助が云った。

「いってえ卵ちゅうもんはなにが産むだね」

「それは申すまでもなく」

二之木がむっとして答えた。

「むろん牝鶏が生みます」

「じゃあおめえはどうだ、うう、おめえはなにから生れて来ただえ、木の股かえ」

「もちろん母親からでございます」

杢助は煙草をふかし、ふんと云った。

「――そのおふくろさまは、女かえ男かえ」

「むろん女でございます」

「それでその、おふくろさまもやっぱり、おめえにはけがらわしいだか」