Japanische Klassiker mit Furigana
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ひかりとかぜとゆめ
光と風と夢
Lesen Sie 光と風と夢 (ひかりとかぜとゆめ) von Nakajima Atsushi (中島 敦) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 79.032 Zeichen · 158 Bildschirme
所で、今朝その酷い反動が来た。胃のあたりが鈍く重苦しい感じで、気分が冴えなかった。机に向って昨夜の続きを四五枚も書いた頃、私の筆は止った。行悩んで頬杖をついていた時、ひょいと、一人の惨めな男の生涯の幻影が頭の中を通り過ぎた。その男は、ひどい肺病やみで、気ばかり強く、鼻持ならない自惚やで、気障な見栄坊で、才能もないくせに一ぱしの芸術家を気取り、弱い身体を酷使しては、スタイルばかりで内容の無い駄作を書きまくり、実生活に於ては、其の子供っぽい気取のため事毎に人々の嘲笑を買い、家庭の中では年上の妻のために絶えず圧迫を受け、結局は、南海の果で、泣き度い程北方の故郷を思いながら、惨めに死んで行く。
ちらりと一瞬、閃光のように斯うした男の一生の姿が浮かんだ。私ははっとみぞおちを強く衝かれた思いがし、椅子の上にくずおれた。冷汗が出ていた。
暫くして私は回復した。之は何か身体の工合のせいだ。こんな莫迦な考が浮ぶなんて。
しかし、自分の一生の評価の上に、ふと、さしたかげは中々拭い去れそうもない。
Ne suis-je pas un faux accord
Dans la divine symphonie?