Japanische Klassiker mit Furigana
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ひかりとかぜとゆめ
光と風と夢
Lesen Sie 光と風と夢 (ひかりとかぜとゆめ) von Nakajima Atsushi (中島 敦) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 79.032 Zeichen · 158 Bildschirme
俗悪を知り尽くして、尚、高きものを失わない人間は、貴ばれねばならぬ。
木の葉一枚をとって見ても、サモアの脂ぎった盛上るような強い緑色と違って、此処のは、まるで生気のない・薄れかかったような色に見える。肋膜が治り次第、早く、あの・空中に何時も緑金の微粒子が光り震えているような・輝かしい島へ帰りたい。文明世界の大都市の中では窒息しそうだ。騒音の煩わしさ! 金属のぶつかり合う硬い機械の音の、いらだたしさ!
四月×日
濠洲行以来の私とファニイとの病気も漸く治った。
此の朝の快さ。空の色の美しさ、深さ、新しさ。今、大いなる沈黙は、ただ遠く太平洋の呟きによって破られるのみ。
小旅行と引続いて病気をしている間に、島の政治情勢はひどく急迫して来ている。政府側のマターファ或いは叛乱者側に対する挑戦的態度が目立って来た。土人の所有せる武器を凡て取上げることになるだろうという。今や政府側の軍備が充実したに違いない。一年前と比べて、情勢はマターファに著しく不利だ。役人達・酋長達に会って見ても、戦争を避けようと真面目に考えている者がないのに驚かされる。白人官吏は之を利用して自分等の支配権の拡充を考えるだけだし、土人、殊にその青年共は戦争と聞いただけで、ただもう興奮して了う。