Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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やつがたけのまじん

八ヶ嶽の魔神

国枝 史郎

Lesen Sie 八ヶ嶽の魔神 (やつがたけのまじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.664 Zeichen · 323 Bildschirme

Aozora Bunko

恋の美酒に酔い痴れよう。ほんとに男と云うものは、身も魂も何物かに打ち込まなければ生き甲斐がない。私はこれまで荒々しい武道と事業とで生きて来た。それがいよいよ行き詰まったところで計らずも女の恋を得た。これで楽しく生きることが出来る。お前は私の恩人だ。そうして私の恋人だ。私はお前を放しはせぬ」彼の顔からは憂欝が消え、新しく希望が現われたのである。

二〇

こういう事があってから十日余りの日が経った。その時諏訪の家中一般に一つの噂が拡まった。

――若殿が毎夜城を出てどこかへ行かれるというのである。――

――それから間もなく若殿に関してもう一つの噂が拡まった。若殿にはこの頃隠し女が出来てそこへ通われるというのである。――

で、人達は取り沙汰した。

「武道好みの若殿に女が出来たとは面白いな」

「さて、どんな女であろうぞ?」「いったい何者の娘であろうな?」「家中の者の娘であろうか?」「それとも他国の遊女売女かな?」「湖水の石棺を引き上げようというあの乱暴な計画がどうやらお蔭で止めになったらしい。これだけでも有難い」「女大明神と崇めようぞ」「それにしてもその女はどこに囲われているのであろう?」