Japanische Klassiker mit Furigana
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やつがたけのまじん
八ヶ嶽の魔神
国枝 史郎
Lesen Sie 八ヶ嶽の魔神 (やつがたけのまじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.664 Zeichen · 323 Bildschirme
「どうぞ一眼見たいものだ」「いずれ美人に相違あるまい」「石部金吉の若殿をころりと蕩した女だからの、それは美人に相違ないとも」「いやいや案外そうではあるまい。奇抜好みの若殿だ、人三化七の海千物を可愛がっておられるに違いない」「ははあこれももっともだな」「轆轤ッ首ではあるまいかな」「夜な夜な行灯の油を嘗めます」「一つ目の禿ではあるまいかな」「信州名物の雪女とはどうだ」「ところが今は冬ではない」「ううん、それじゃ夏女か」「そんな化物聞いたこともない」「河童の化けたんじゃあるまいかな」「永明寺山の狸かも知れぬ」「唐沢山の狐であろう」「いや狢だ」「いや河獺よ」「いやいや鼠に相違ない」――噂は噂を産むのであった。
そのうち、家中の人達の眼に、当の若殿頼正が、日に日に凄いように衰弱するのが、不思議な事実として映るようになった。
――そこでまた噂が拡まった。
「これは魅入られたに違いない。いよいよ相手は怪性の物だ」「狢かな河童かな。きっと岡谷の河童であろう」「いや違う。そうではあるまい、これは水狐族に相違ない」
「あッ、なるほど!」
と人々は、この意見に胆を潰した。