Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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わかれたるつまにおくるてがみ

別れたる妻に送る手紙

近松 秋江

Lesen Sie 別れたる妻に送る手紙 (わかれたるつまにおくるてがみ) von 近松 秋江 (ちかまつしゅうこう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 51.985 Zeichen · 103 Bildschirme

Aozora Bunko

処がその猫も、一度二日も続いて土砂降りのした前の晩、些との間に何処へ行ったか、いなくなって了った。お母さんと二人で種々探して見たが遂に分らなかった。

そんな寂しい思いをしているからって、これが他の事と違って他人に話の出来ることじゃなし、また誰れにも話したくなかった。唯独りの心に閉じ籠って思い耽っていた。けれどもあの矢来の婆さんの家へは始終行っていた。後には「また想い遣りですか。……あなたが、あんまりお雪さんを虐めたから。……またあなたもみっちりお働ぎなさい。そうしたらお雪さんが、此度は向から頭を下げて謝って来るから。……」などと言って笑いながら話すこともあったが、あの婆は、丁度お前のお母さんと違って口の上手な人でもあるし、また若い時から随分種々な目にも会っている女だから、

「本当にお雪さんの気の強いのにも呆れる。……私だって、あゝして四十年連れ添うた老爺さまと別れは別れたが、あゝ今頃は何うしているだろうかと思って時々呼び寄せては、私が状袋を張ったお銭で好きな酒の一口も飲まして、小遣いを遣って帰すんです。……私には到底お雪さんの真似は出来ない。……思い切りの好い女だ。