Japanische Klassiker mit Furigana
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わかれたるつまにおくるてがみ
別れたる妻に送る手紙
近松 秋江
Lesen Sie 別れたる妻に送る手紙 (わかれたるつまにおくるてがみ) von 近松 秋江 (ちかまつしゅうこう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 51.985 Zeichen · 103 Bildschirme
」と言い出した。それも私はよく知っている。また其れがいよ/\別れねばならぬことになって、一層丁寧に、私の所帯道具の始末をしてくれたのも知っている。
それでいて、私は柳町の人達よりも一層深い事情を知らぬ婆さんが、そう言ってくれるのを自分でも気安めだ、と承知しながら、聞いているのが何よりも楽みであった。私は寄席にでも行くようなつもりで、何か買って懐中に入れては婆さんの六十何年の人情の節を付けた調子で「お雪さんだって、あれであなたのことは思っているんですよ。」を聞きに行った。
そうしながら心は種々に迷うた。何うせ他へ行かねばならぬのだから家を持とうかと思って探しにも行った。出歩きながら眼に着く貸家には入っても見た。が、婆さんを置くにしても、小女を置くにしても私の性分として矢張し自分の心を使わねばならぬ。それに敷金なんかは出来ようがない。少し纏まった銭の取れる書き物なんかする気には何うしてもなれない。それなら何うしようというのではないが、唯何にでも魂魄が奪られ易くなっているから、道を歩きながら、フト眼に留った見知らぬ女があると、浮々と何処までも其の後を追うても見た。