Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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わかれたるつまにおくるてがみ

別れたる妻に送る手紙

近松 秋江

Lesen Sie 別れたる妻に送る手紙 (わかれたるつまにおくるてがみ) von 近松 秋江 (ちかまつしゅうこう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 51.985 Zeichen · 103 Bildschirme

Aozora Bunko

長く男一人でいれば、女性も欲しくなるから、矢張し遊びにも行った。そうかと言って銭が無いのだから、好くって面白い処には行けない。それゆえ銭の入らない珍らしい処を珍らしい処をと漁って歩いた。なろうならば、何もしたくないのだから、家賃とか米代とか、お母さんに酷しく言われるものは、拠なく書き物をして五円、八円取って来たが、其様な処へ遊びに行く銭は、「あゝ行きたい。」と思えば段々段々と大切にしている書籍を凝乎と、披いて見たり、捻って見たりして、「あゝこれを売ろうか遊びに行こうか。」と思案をし尽して、最後にはさて何うしても売って遊びに行った。矢来の婆さんの処にも度々古本屋を連れ込んだ。そうすれば、でも二三日は少しは心が落着いた。

その時分のことだろう。居先きは明さないが、一度お前が後始末の用ながらに婆さんの処へ寄って、私の本箱を明けて見たり、抽斗を引出して見たりして、

「まあ本当に本も大方売って了っている。あの人は何日まで、あゝなんだろう。」と言って、それから私の夜具を戸棚から取出して、黴を払って、縁側の日の当る処に乾して、婆さんに晩に取入れてくれるように頼んで行ったことをも聞いた。