Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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わかれたるつまにおくるてがみ

別れたる妻に送る手紙

近松 秋江

Lesen Sie 別れたる妻に送る手紙 (わかれたるつまにおくるてがみ) von 近松 秋江 (ちかまつしゅうこう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 51.985 Zeichen · 103 Bildschirme

Aozora Bunko

――お前が知っている通り私はよく斯様なことに気が付いて困るんだが、――脱いだ着物を、一寸触って見ると、着物も、羽織も、ゴリ/\するような好いお召の新らしいのを着ている。此の社会のことには私も大抵目が利いているから、それを見て直ぐ「此女は、なか/\売れる女だな。」と思った。

よく似合った極くハイカラな束髪に結って小肥な、色の白い、肌理の細かい、それでいて血気のある女で、――これは段々後になって分ったことだが、――気分もよく変ったが、顔が始終変る女だった。――心もち平面の、鼻が少し低いが私の好きな口の小さい――尤も笑うと少し崩れるが、――眼も平常はそう好くなかった。でもそう馬鹿に濃くなくって、柔か味のある眉毛の恰好から額にかけて、何処か気高いような処があって、泣くか何うかして憂いに沈んだ時に一寸々々品の好い顔をして見せた。そんな時には顔が小く見えて、眼もしおらしい眼になった。後には種々なことから自暴酒を飲んだらしかったが、酒を飲むと溜らない大きな顔になって、三つ四つも古けて見えた。私も「どうして斯様な女が、そう好いのだろう?」と少し自分でも不思議になって、終には浅間しく思うことさえもあった。