Japanische Klassiker mit Furigana
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べっぷおんせん
別府温泉
高浜 虚子
Lesen Sie 別府温泉 (べっぷおんせん) von 高浜 虚子 (たかはまきょし) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.339 Zeichen · 27 Bildschirme
海岸にはその渡御を見んための人々が蟻のはうように群集していた。やがてその船は皆波止場の中にはいってしまうと群衆も漸くその波止場の方に移って行った。
日がくれてしまうと一面の闇が海上も海岸の建物も隠してしまった。ただ平等に真暗な天地となってしまった。その中に灯火のみがきらきらとしていた。海岸には一帯の灯があった。水晶のすだれのような灯のかたまりが港を囲んでいた。その中に篝火が燃え立って、特に煌々と光り輝やいているものの動いているのは何かと見ると、それは神輿であった。最前船に乗って渡御しつつあった神輿が今は陸上に上げられて舁かれつつあるのであった。群衆のそれを取り囲んでいる容子がその篝火の光に照し出されていた。
海の上にもまた灯火が散らばって動いていた。それは多くは赤い火であった。目の下にも一隻のボートに赤いほおずき提灯をともして漕いで行くのがあった。聞けば沢山の温泉旅宿の番頭や女中なども十二時を過ぎると皆このボートに乗って海上に遊びに出るとのことである。その赤い灯の此方彼方に動いている様が涼し気でまた楽しそうに見えた。
欄干にもたれてその火を見ておると、一人の人がこんな話をした。