Japanische Klassiker mit Furigana
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げきのすきなこどもたちへ
劇の好きな子供たちへ
岸田 国士
Lesen Sie 劇の好きな子供たちへ (げきのすきなこどもたちへ) von 岸田 国士 (きしだくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.550 Zeichen · 15 Bildschirme
見物はほかのことを考えたり、舞台のあらさがしをしたり、あくびをかみ殺したりしなくなる。いきもつかず舞台に見入り、耳をすまし、劇のなかの人物といっしょに、自分もよろこんだり、悲しんだり、怒ったり、思案したりするようになる。そして、そのことが、知らず知らずのうちにそうされてしまうのが、劇の面白さになるのである。
やりなおしはできない。がそうかといって、用心ばかりしたり、間違えてばかりいたり、手さぐりのもどかしさを感じさせたりしては、劇はその面白さの半分を失う。一旦舞台に立ったら、忘れたり間違えたりすることを心配しないで、そのときはそのときで、自分の役の性質をとりちがえない範囲で、前後のつながりをうまくつなぐようなその場の智恵を働かせばよい。
これを即興というのだが、この即興のできる訓練は劇をやるうえに大切で、人間である以上、どんなにおぼえたつもりでも忘れることがあり、どんなに練習をしても、とっさに手違いができることもあるのだから、そこを、ただいいかげんにごまかすのではなく、劇の面白さをへらさぬように、そくざの機転で、たくみに補うことは、これまた、劇の劇らしいところである。