Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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じゅうはちじのおんがくよく

十八時の音楽浴

海野 十三

Lesen Sie 十八時の音楽浴 (じゅうはちじのおんがくよく) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 103.941 Zeichen · 210 Bildschirme

Aozora Bunko

なんにもまだ気のつかない私はいつものように、八時半ごろ研究室の鍵をあけた。すぐコートを脱いで白い実験衣に着かえながら、私は壁にかかっている小さい黒板の上の字を読んだ。それはいつも渋谷先生が翌日の仕事を、早く出てくる私に命令されるために書きつけてゆかれるのが例になっていたものである。

出勤次第、第二号「テレビジョン」機ヲ「スタート」ノコト。受影機ノ同調周波数ヲ七万付近ニ選ビ、調整ノコト。陰極管ノ水冷ニ特ニ注意ヲ要ス。

この命令は私にちょっと不審を起させた。相手もないのに、受影をしてみるというのは意味のないことではないか。博士の心を推しはかりかねた私は、機械のところに来てみて、はじめてそれが意味のあることだとわかった。なぜなら、前日までそこに並べておいたはずの第一号テレビジョン機がなくなって、そのあとが歯の抜けたようにポッカリあいていたから。

(先生はどっかへ持ってゆかれて、送影を始められているのだ。しかし時間を書いてゆかれないのは、先生らしくないことだ)

あくまで鈍感な私は、昨夜のできごとをこの黒板の字に結びあわすことをしないで、ただ先生の命令どおり受影機の前に坐って、スイッチをいれた。