Japanische Klassiker mit Furigana
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ちよこ(さん)
千世子(三)
宮本 百合子
Lesen Sie 千世子(三) (ちよこ(さん)) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 26.906 Zeichen · 54 Bildschirme
「ほんとうにねえ。
今年は今っから海岸にでも行ってたらどうです?
「今はまだ東京に居とうござんすよ、
今頃の東京は一寸ようござんすからねえ。
ネルの着物を着る頃の銀座の通りが大好きですよ。
かなり長い間おぼえて居られる人を見られるしするから。
「私なんか一寸でもおぼえて居られる人に会った事なんて銀座を歩いたってありません。
男だからでしょうかねえ。
「そんなこってあるもんですか、
目速くないからなんですよ。
いつまでもおぼえてた人の中でたった一人妙な事で私にわすられない人がありましたっけ。
何でもない人だったんだけれ共後れ毛をかきあげた小指の変な細さが目について忘られない人の仲間入りしたんですよ、
十七位の娘でしたけど。
そうして思い出す時には一番始めに前髪の処にあがった小指から頸から前髪から眼と云う順でしたよ、どんなはじっこにあるものでも一番先に目の行った場所から見えて来るもんですねえ。
そいで一寸も変な形容じゃないんです。
「私そんな事一度もあった事がありませんよ、
面白いもんですか?
そんな事を云う人はあんまりありませんねえ、
私達の知ってる人の中で。